私が体験した深刻なバーンアウト
残業ゼロの働き方を達成して2年が過ぎた頃。私は深刻なバーンアウト(燃え尽き症候群)となった。出版した電子書籍はアマゾンの2部門で1位を獲得。セミナー講師としての活動も順調。しかし私の内面は全く満たされていなかったのだ。
私は常に「もっと成し遂げなければ」という焦燥感に駆られていた。一方で毎朝起きると何もやる気が起きない日々が続いた。成功を意識しつつも何事にも情熱を感じなくなり「自分のやりたいことってなんだろう」などと感じる始末。
残業ゼロを達成し、自由に働けるようになり、時間もたくさんできた。セミナー講師をはじめ、自分がやりたい目標も実現して収入も大きく増えた。以前の私が「こうなれば幸せになれる」と思い描いていた夢のような生活を手に入れたのに。そんな私を待っていたのは満たされない毎日だったのだ。
「時間がたくさんある」が「満たされていない」。これまでさまざまな目標達成を目指してがんばってきた私にとっては、とんでもない生き地獄だった。時間だけはたっぷりあるため、自分の心の内とイヤでも向き合わなければならなくなる。毎日幸せに生きるためにはどうすればよいのか。答えを見つけるためにもがき続けた。
満たされていないのは、楽しいと思えることが少ないのかもしれない。当時の私は、自分が幸せを感じる時間を単純に増やしていけばいいと考えた。友人・知人と高級レストランで食事をしたり、刺激的なセミナーやイベントに積極的に参加したり。
マッサージにも頻繁に通った。たしかにその一瞬は満たされた。だが高級レストランもたまに行くから幸福感を感じるのであって、慣れてしまえば幸せを感じにくくなる。そのほかのことも同じ。支出が増える一方、あいかわらず私は満たされない毎日を過ごしていた。
幸せは自分の内面にある迷走していた私が変わる大きな転機となったのは、世界的ベストセラー作家アラン・コーエンのコーチングを受けたことだ。2019年の4月だった。各業界のトップの人達にもコーチングをするアラン曰く、財界人であろうと人間関係や依存症などさまざまな悩みを抱えているそうだ。
「人間はみんな同じなんだよ。自分の内面が満たされない限り、いくら外の世界に幸せを求めても一生満たされることはないんだ」
このときから私の内面への探求がはじまった。あれから4年近くが経った今、私はようやく、本当にようやく、自分の人生に満足しつつある。今私は40歳にして、これまでで一番幸せな時を過ごすことができている。
しかしこれは、キャリアがうまくいっているという現実からではない。私が今幸せなのは「十分」という感覚を知ることができ、良い1日を過ごすことだけに意識を向けられるようになったからなのだ。
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滝川 徹(タスク管理の専門家) 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月21日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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