ソロージャが暮らし絵筆をとったお屋敷が美術館に
<Paolo Giocoso © Madrid Destino>
今年がちょうど没後100周年にあたるバレンシア出身のソロージャは故郷を出てマドリードやローマ、パリで研鑽を積み成功をおさめた後、マドリードに腰を据えることを決めます。現在ソロージャ美術館になっているのは、1911年に建てられた住居兼アトリエです。
門を入るとアンダルシア風の庭園があり、その奥にお屋敷が建っています。館内にはソロージャの作品が所狭しと並んでいるだけではなく、アトリエには使いかけの画材が置いてあり、まるでまだここで絵筆をとっているかのような演出も。また、住居部分も公開されているので、当時の生活を垣間見ることができます。ソロージャと言えば、明るい陽光を独特のタッチで描いたバレンシアの海岸の絵がよく知られています。宗教画が苦手な方は、ぜひこちらに足をお運びください。
王侯貴族の子女が暮らしたゴージャスな修道院
ところで、クラシックな美術品コレクションを展示しているのは美術館だけではありません。王宮や教会、修道院も美術品の宝庫。マドリードの宗教施設で私がイチオシするのは、ラス・デスカルサス・レアレス修道院です。
外から見ると特に変哲のない石造りの建物なのですが、中に入ると煌びやかなカトリックの世界が広がります。私が初めて訪れたのはまだ日本に住んでいてキリスト教美術を知らない頃で、修道院というのは厳かで質実剛健なものだと思っていたためとても驚いたことを覚えています。
それもそのはず。16世紀にカルロス5世の次女フアナ・デ・アウストリア王女が創立した女子修道院で、王侯貴族の子女が暮らしていたのです。スルバランやブリューゲルなど当時活躍した画家の作品や、ルーベンスが下絵を描いたタペストリーが展示されています。大階段の頭上に描かれたフレスコ画は壮観です。
なお、ここの教会では17世紀初めに慶長遣欧使節を率いた伊達藩の支倉常長が洗礼を受けたと言われています。