<TOP画像:Paolo Giocoso © Madrid Destino>
以前、マドリードが世界に誇るプラド美術館、ティッセン・ボルネミッサ美術館、ソフィア王妃芸術センターのお話をしました。マドリードにはそれ以外にもぜひ訪れたい美術館がいくつもあります。今回はその中からいくつかをご紹介します。
目次
由緒ある王立サン・フェルナンド美術アカデミー
すばらしい展示と当時の貴族の暮らしが両方楽しめるセラルボ美術館
ソロージャが暮らし絵筆をとったお屋敷が美術館に
王侯貴族の子女が暮らしたゴージャスな修道院
美術品のほか聖遺物の展示で有名な修道院
由緒ある王立サン・フェルナンド美術アカデミー
18世紀半ば、フェリペ5世王の時代に発足した王立サン・フェルナンド美術アカデミーには、スペインを代表する画家のゴヤのほか、若き日のピカソやダリ、今秋亡くなったコロンビア人のボテロなどが在籍していました。
現在は1,400点を超える絵画、600点以上の彫刻、15,000点以上の素描をはじめ、タペストリー、銀細工、陶磁器、家具などの装飾美術コレクションも所蔵・公開しているほか、写真コレクションもあり常設展示室が設置されています。
リベラやスルバラン、ムリーリョ、ベラスケス、ゴヤなどの作品が展示されており、クラシックなスペイン絵画好きにはぜひおすすめ。私も何度か足を運んでいますが、割と空いているので見やすいです。
すばらしい展示と当時の貴族の暮らしが両方楽しめるセラルボ美術館
<Hiberus © Madrid Destino>
続いてご紹介するのは、邸宅美術館とでもいうのでしょうか。貴族やブルジョア、芸術家が住んでいたお屋敷を、当時の雰囲気を生かして美術館に利用しているところです。
第17代セラルボ侯爵は政治家であると同時に歴史家、考古学者、そして王立歴史アカデミーの会員でもあるとてもアカデミックな人でした。現在美術館として使われている建物は、自身の膨大な美術品や考古遺物コレクションの展示を意識し、19世紀末に建てた住居です。侯爵の遺志により、考古学に関するコレクションの多くは国立考古学博物館と国立自然科学博物館に寄贈され、それ以外のものは美術館となった邸宅に残っています。エル・グレコやスルバラン、リベラなどの絵画のほか、彫刻や陶芸品、ガラス製品、タペストリー、家具、武器甲冑、考古遺物などなど、その数はなんと5万点以上!! 驚きの個人コレクションです。
展示品以外にも美しい天井画のある主階段や来客をもてなした部屋など、かなりの見応えがあります。100年前にはまだこんな暮らしをしていた人がいたのですね。美術品の数々を鑑賞するだけではなく、19世紀末から20世紀はじめの貴族の暮らしを知ることができる貴重な美術館です。