先日Xで二度見必至なパッケージのクラフトビールが話題になっていました。パッケージにデザインされているのは美味しそうな「釜玉バターうどん」。うどんに合うビール……ではなく、そのまま「釜玉バターうどんビール」です。
手がけているのは香川県にある醸造所「SETOUCHI」。“うどんの国”ならではの発想でしょうか。実際にどんな味がするのか、取り寄せて飲んでみました。
「釜玉バターうどんビール」はHAZY IPA(ヘイジー アイピーエー)というジャンルのクラフトビール。HAZY IPAとはホップの風味が強いIPA(インディア・ペールエール)の一形態。HAZY(濁った)という言葉どおり濁りがあり、果汁のような見た目が特徴です。
ちなみにアメリカのビール醸造協会(Brewers Association)では、「Juicy or Hazy India Pale Ale」として分類されています。
パッケージはというと、うどん麺を模したようなぐるぐる模様と、美味しそうな「釜玉バターうどん」がデザインされています。本当にビールからこのうどんの味がするのか……?
アルコール度数は9%。原材料名は大麦麦芽、糖類、小麦麦芽、オーツ麦、オーツ麦麦芽、ホップ。「釜玉バターうどん」らしい材料は使われていません。強いて言うなら「小麦」でしょうか。
この原材料名がどう「釜玉バターうどん」になるのかはまるで想像ができないので、四の五の言わずに開けて飲んでみようと思います。
プルトップを引いて開栓すると、独特の風味が漂います。
グラスに注いでみると、色合いは濁りを帯びたオレンジ色。名前のせいか溶かしバターにも見えます。なるほどこれがHAZYか。
改めて香りを嗅いでみると、大手メーカーのビールには感じることのない苦み強めな香りがします。これがホップの香りでしょうか。じっと嗅いでいると奥の方にほのかに甘さも感じます。
「釜玉バターうどん」の香りはしないものの、バターっぽい濃いめの雰囲気があります。
実際に飲んでみると、「釜玉バターうどん」の味はまったく感じません。卵も、バターも、うどん出汁の味もなし。ただ後味には若干、小麦感が残っている気がします。
味わいは匂いと同様に濃い目で、やや甘みを感じます。見た目や名前のせいもあってか、なんとなくとろっとした舌触りがします。苦みは開栓当初に感じたほどでもなく、飲んでいるうちに薄れていきます。
アルコール度数は一般的なビール(5%前後)よりもやや高めですが、その割にはあまりアルコールを感じず、飲みやすいです。
それにしてもどこに「釜玉バターうどん」の要素があるのだろう……?
飲みながら改めてパッケージを確認してみたところ、どうやらこの商品は「釜玉バターうどん」の味を再現するようなコンセプトではないようです。
パッケージには「うどんと同じ原材料の小麦を使用しコシと艶にこだわり、華やかな香りのするHOPの出汁で深みのある味わいを追求」「バターという名のモルトを大量に投入した濃厚でリッチな逸品」とあります。
どうやら小麦をうどんに、モルト(麦芽)をバターに、ホップを出汁に見立てて作られているようです。石と砂を見ずに見立てて自然の景観を再現する枯山水みたいに「釜玉バターうどんビールの材料だけで見立て再現する」といったコンセプトが近いのではないでしょうか。
「釜玉バターうどん」の味こそしませんでしたが、これまでに飲んできたビールとは明確に「違った味わい」を感じるビールだったことは間違いないです。
「釜玉バターうどん HAZY IPA」の価格は醸造所のネットショップで1本800円。送料は別途になります。四国近辺にお住まいでない方が興味本位で手を出すのはややハードルが高めかもしれませんが、気になった方はぜひ。
<参考・引用>
・SETOUCHI BEER 公式HP
・Brewers Association「Juicy or Hazy India Pale Ale」
(ヨシクラ ミク)
提供元・おたくま経済新聞
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