意図的にロボットを杖で突いたりしても、2本足でしっかりとバランスを保っています。

外骨格を装着した患者は、基本的には歩行時に杖を併用しますが、この優れたバランス機能により、杖無しでもいくらか歩いたり、直立した状態で両手を使った立ち仕事を短時間行えたりします。

こうした技術は、モーターと減速機の出力密度が既存技術の2倍に向上したことや、高度なモーション制御アルゴリズム、障害物検出用の視覚認識システムの実装によって実現しました。

そして研究チームは、このWalkON Suit F1を使用し、2024年10月27日に、4年ぶりに開催される「サイバスロン(義肢などを用いて障がい者が競技に挑む国際スポーツ大会)」に参加しました。

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狭い隙間も移動できる。競技大会で金メダルを獲得 / Credit:KAIST

参加者は、限られた時間内に「狭い椅子の間を横に歩いて移動する」「杖に頼らず歩く」「狭いドアを通り抜け、ドアを閉める」「キッチンで食事の準備をする」などの様々なミッションを完了するよう求められました。

チャレンジの結果、KAISTチームとWalkON Suit F1は、6分41秒で全てのミッションを完了し、金メダルを獲得することができました。

2位や3位のスイス、タイのチームがどちらも10分以内にタスクを完了できなかったことを考えると、WalkON Suit F1が現段階で圧倒的な性能を有していることが分かります。

こうした新しい技術の開発は、下半身が完全に麻痺した患者が諦めていた「自分で歩く」という夢をかなえてくれるはずです。

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参考文献

KAIST Introduces a Wearable Robot that Walks and Puts itself on to Disabled Persons
https://www.kaist.ac.kr/newsen/html/news/?mode=V&mng_no=40790