丁度「情報十分性の錯覚」についての記事があった。「ダニング=クルーガー効果」※11)として知られ、自分の知識が不十分にも関わらず「分かっている」と過大自己評価してしまう心理である。RNAやレプリカーゼ、免疫やウイルスについて無知なのに、無知と自覚できず自分が理解可能なデマを鵜呑みして分かったつもり、感情のままに喧伝する「バカはバカと自覚できないからバカ」、社会の迷惑害悪である。

総額77兆円をPCRやワクチンその他対策に注ぎ込んだ新型コロナ禍だったが、現在の流行株は喉の痛みと微熱程度で随分マイルドになった。ウイルスの共存戦略進化かワクチンの効果かは不明だが、新型コロナ禍が落ち着いた現状は、人類未曽有の大規模反復接種した結果としてある。ワクチン関連死や超過死亡が反ワクチン扇動の根拠とされるが、統計的に有益性が勝るというのが医学的コンセンサスである※12)。

ワクチンヘイトの根拠とされるワクチン関連死は、明確な医学的因果関係を調査証明していない※13)。ワクチン接種後一定期間内に死亡したら、裁判でモメたくないから示談して終わり、最高4400万円強が寝たきり老人にまでも少なくない人数(の遺族)に支払われた※14)。医学的究明を放棄し金で解決し、未曾有の短期間大量反復接種を強行、安倍政権下で言われた「やってる感」のためにである。そこに一つの禍根がある。

安倍氏が二度目の政権投げ出し、後始末の菅政権はトランプ米大統領と声の大きな有識者の言うままに大量のワクチンを買い付け接種した。そのワクチンは米国のオペレーション・ワープスピードで異例の速さで緊急使用承認し生産したものである。保管に実験研究用の超低温冷凍庫が必要であり取り扱いが煩雑面倒で、医薬品として十分な状態とは言えなかった※15)。

それから三年半、念願の国産コロナワクチンが武田薬品工業、Meiji Seikaファルマ、第一三共で開発された。武田は昆虫細胞で培養生産したスパイク蛋白質を成分とする、遺伝子組換えワクチンである。ウイルスは含まれず感染することは無く副反応は最も少ないと予測できるが、十分な開発期間が必要なので新型コロナのような緊急時には間に合わない。第一三共はファイザー等と同じmRNAワクチンである。