恐竜時代の空中戦がセミを進化させたようです。
英ロンドン自然史博物館(NHM)、中国科学院(CAS)はこのほど、2億年以上前の三畳紀に誕生した古代ゼミの一群が、約1億6000万年前のジュラ紀後期を境に、飛行能力の急速な進化を遂げていることを明らかにしました。
この時期は鳥類が台頭し始めた時期と一致しており、古代ゼミは捕食鳥から逃げるために翼の長さや体格を劇的に変えたことが示唆されたのです。
ライバルの存在によってセミはパワーアップしたのかもしれません。
研究の詳細は2024年10月25日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。
目次
- セミの楽園を終わらせた強敵「鳥類」の台頭
- セミは鳥類の出現によって超進化していた!
セミの楽園を終わらせた強敵「鳥類」の台頭
今回、調査されたのは「ムカシゼミ科(Palaeontinidae)」という絶滅ゼミのグループです。
彼らは別名・ジャイアントシカダ(=巨大ゼミ)と呼ばれるようにセミの中でも大型の一群で、翼を広げた横幅は15センチ以上にも達しました。
彼らが生きていた時代は2億年以上前の三畳紀中期〜約1億年前の白亜紀後期であり、獰猛な恐竜たちが繁栄した時期と一致します。
ただ彼らが誕生した初期の頃は空を飛べる生物が昆虫しかおらず、ムカシゼミに対する捕食圧はほとんどなかったのです。
彼らは心ゆくままに樹液を吸い、空を飛んでいれば、敵に食べられることもありませんでした。
まさに昆虫たちにとって地球は楽園だったことでしょう。
ところがセミたちを絶望させる生物が約1億6000万年前のジュラ紀に出現します。
それが空を飛ぶことのできる鳥類でした。
最初の鳥類は小型で肉食性の獣脚類の一部から進化したと考えられており、羽毛の生えた翼を使って、木から木へと滑空しながら飛び移る能力を持っていたのです。