パーツの性能はデータでも実証済み
T-REV miniは、クランクケース内部を減圧することで、ピストンの上下やクランクシャフトの回転に対する運動抵抗を減らすアイテムだ。しかし実際には、一般ユーザーが“減圧そのもの”を数値として確認することは難しい。そこでTERAMOTOでは、特殊な圧力計測装置を使用して、CT125・ハンターカブのクランクケース内圧を測定したデータを公表。前述のように、クランクケース内部の空気は常に大きく動かされており、スロットルのオンオフによってもクランクケース内圧に変動が起きるのだが、ノーマルとT-REV mini装着時で同じようにスロットルを開けてエンジン回転数を上げた状態では、ノーマルが+0.12Kpaと若干の加圧状態であるのに対して、T-REV mini装着時は-2.46Kpaと、大幅に減圧されていることが実証されている。
振動低減&エンブレ改善で、公道走行に効く!
T-REV miniの効果は数値でも実証されているが、一般ユーザーにとってそれよりも大事なのは、「装着することで走りがどう変わるのか?」だろう。寺本さんは、体感しやすい効果としてまずは「振動の低減」を挙げる。
「例えばニュートラル状態でスロットルを空吹かししたときに、エンジン回転数が高いところから落ちてくるときの『ビビビビッ……』という振動が、角の取れた滑らかな感じになるところは、装着してすぐに気づいてもらえると思います」
もちろん、効果は走行中も確実に感じ取れる。その中でも特に明確なのは、「エンジンブレーキの滑らかさやシフトショックの低減」と寺本さんは推す。
「T-REVシリーズを装着したユーザーの中には『エンブレが減った』なんて表現する人もいるのですが、エンブレはギヤ比に依存するものなので、これは間違い。正しくは、スロットルを閉じた瞬間の衝撃が柔らかくなっているんです。これは、スロットルを閉じたままギヤを落としてクラッチをつないだ瞬間も同様です」
スロットルオフやシフトダウンによるショックは、車体の挙動を乱すことにつながり、これが走りをギクシャクさせる大きな原因のひとつになる。上級者は、繊細なスロットルワークやクラッチワーク、シフトダウン時のブリッピング(スロットルを一瞬あおる操作)などで、この衝撃を消す運転をしているが、そのような技術がない初中級者でも、T-REV miniを装着すればスムーズな走りが可能になるというわけだ。寺本さんはこの状態を、「リヤタイヤがきれいに転がり続ける」と表現する。
ちなみにT-REVは、スロットルを開けたときにも効果を発揮する。ADV150/160やPCXシグナスシリーズ、アドレスV125などのスクータータイプは、無段変速機を搭載しているためエンブレの効果が元々薄く、スロットルオフ時のショックは比較的感じづらいが、「スロットルを開けたときのピックアップが良くなり、軽快なフィーリングが確実に得られます」と寺本さん。もちろん、加速時の変化はマニュアル変速の車種でも体感できる。
寺本さんがT-REVを開発するきっかけとなったのはレースシーンだが、走行環境を考えたら公道のほうが、シフト操作やスロットルをオンオフする機会は多くなるはず。とくに原付二種以下のクラスは、走れるのが一般道だけなのでスロットル開度一定で巡航する時間は少なく、T-REV miniの装着により受けられる恩恵は大きい。加えて、T-REV miniが適合するのは単気筒モデルばかり。つまり、元々のエンジン特性として振動は多めでエンブレは強くかかりやすい傾向なので、効果を体験しやすい。このように考えていくと、すでに多くのユーザーがT-REV miniを高く評価していることも納得だ。