また7-8兆円の減収になる一方、可処分所得が増えるので経済が活性化し、それが税収として帰ってくる分が計算されていません。あるいは貯蓄されたとしても最後死ぬとき相続税で捕捉されるのです。つまり加藤大臣のいう7-8兆円は損益計算書でいう支出だけ述べて収入を無視しているわけで発言の意味はないと思います。
さて、日本にとって今年は記念すべき年になるはずで財務省は内心ウハウハしているはずです。理由はプライマリーバランスが初めて黒字化しそうだからです。8000億円程度とされますので日本のお財布全体から見ればほぼゼロのようなものですが、プラスはプラスです。理由は好調な企業業績、物価高および歳出の抑制です。物価高は10%の消費税として反映されやすいのでしょう。
もう一つ忘れてならないのが外国為替資金特別会計(外為特会)であります。私から言わせればこの外為特会は政府と財務省の巨額のへそくりと言ってよいかと思います。今年の4月の為替介入だけで2兆円強の利益が出たとされます。では外為特会の規模はどれぐらいか、というと今年9月の時点の財務省のデータを見ると資産の大半を占める外貨準備高は1兆2549億ドル(=188兆2350億円)あります。内訳は現金、証券、金、SDR、IMFリザーブあたりが大きな額を占めています。この外為特会で毎年決算をし、一定額を一般会計の歳入に繰り入れ、残りを外為特会に繰り越しています。
外為特会は証券などで保有しているものは利息収入などがあり、毎年おおむね2-3兆円程度の利益を出しています。うち、一般会計に繰り入れる金額は年によりばらつきがありますが、7割から9割程度とみてよいでしょう。今年は為替介入による為替益もあるので外為特会から一般歳入への繰り入れは例年よりも期待値は高まるのかもしれません。
しかしながら仮に3兆円の利益が188兆円の原資から生まれたとすればそのリターンはわずか1.6%でしかないのです。想像するに外為特会の決算表記は取得原価ベースの決算だと思われるので例えば金にしても簿価と実勢価値との差がどうなっているのかさっぱりわからないのです。私の想像が正しければ外為特会には膨大なる含み益が隠されており、そこから生まれ、一般会計に回される利益は微々たるものということになります。