戦時下の緊張と飛行船の役割
L級飛行船は、グッドイヤー社製の広告用小型飛行船をベースに、1937年にアメリカ海軍向けに開発された軟式飛行船である。真珠湾攻撃後、日本海軍による西海岸への攻撃が現実の脅威となり、沿岸警備の必要性が高まっていた。日本軍はカリフォルニアの油田やオレゴンの軍事施設を爆撃し、ロサンゼルスでは誤報による戦闘まで発生するなど、緊張感は極限に達していた。
海軍はグッドイヤー社の飛行船5隻を接収、L-4からL-8の名称を与え、沿岸哨戒や訓練に投入した。L-8は「レインボー」または「レンジャー」と呼ばれていた時期もあったという。1942年4月には、かの有名なドーリットル爆撃隊を乗せた空母ホーネットへ部品を輸送するなど、重要な任務を遂行していた実績もあった。