「科学者や医者たちの総意」を強く拒む人はどこにでもいるものです。
そうした人々は世に知られている科学的知識に反して、強い持論を持っています。
ところが米ポートランド州立大学(Portland State University)が2022年に行った研究によると、科学に反対する人々は、自分の知識や能力を過大評価していると判明。
反科学の人たちは自分の知識が最高ランクだと信じているにも関わらず、テストを行うと、実際の知識は最低ランクであることが示されたのです。
研究の詳細は2022年7月20日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。
目次
- 普遍的な「科学的知識」を強く拒む人たち
- テストで明らかになった「反科学な人々の科学知識」
普遍的な「科学的知識」を強く拒む人たち
科学は長きにわたって築かれてきた人類の叡智であり、私たちの生活を豊かにし、より健康的で幸せな生活を送るよう助けてきました。
そのため、研究主任のニコラス・ライト(Nicholas Light)氏は、科学に反対する人々について次のように述べています。
「人々が優れた科学に反する行動をとると、彼らは病気になり、家やお金を失い、死んでしまうこともあります。
一部の人たちが、なぜ科学的コンセンサス(ある分野に対する学者たちの総意・共通理解)に反対するのか理解できるなら、科学者や政治家は人々を助けるための介入策をつくれるでしょう」
例えば、科学者や医者の総意に反して「ある種の薬剤投与には効果がないどころか人体に害を与える」と考えている人々がいるとします。
そうした人々の考え方を理解して変えてあげられるなら、実際に重症リスクを避けたり、病気による死者数を減らしたりできる、というわけです。
そこでライト氏ら研究チームは、科学的コンセンサスに反対する人々を理解するために、彼らの科学知識を確かめることにしました。