浅浮き彫りから作成された可能性

 聖骸布に似た模様を作り出すことができたのは、人体ではなく浅浮き彫り(低レリーフ)を用いた場合のみだった。モラエス氏はこの結果について、「3次元物体を布で包むと、血痕のような模様が残り、それは元の形状よりもより濃く歪んだものになる」と説明する。つまり、人体の場合は、より膨らんで歪んだ像が転写されるはずであり、聖骸布のように写真のような鮮明な像にはならない。一方で、浅浮き彫りであれば像の歪みは起こらず、聖骸布のような像が得られるのだ。

 モラエス氏は、古代ミケーネ王アガメムノンの黄金のデスマスクを例に挙げ、この現象を説明した。マスクは人間の顔には大きすぎるように見えるが、これは通常の歪みだという。モラエス氏自身も顔に塗料を塗って布を巻き、平らに広げる実験を行い、同様の歪みが生じることを確認している。この現象は「アガメムノンのマスク」効果として知られている。

“トリノの聖骸布”はイエスの顔ではない!?3Dシミュレーションを用いた最新研究が波紋を呼ぶ
(画像=画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)