ドゥロフ氏がメディアのインタビュー取材に応じることは珍しい。常に黒の洋服に身を包み、本人によると、毎朝必ず200回の腕立て伏せと100回の腹筋を欠かさないそうだ。アルコール飲料をとらず、タバコを吸わず、砂糖や肉を摂取しない。禁欲的な実業家としてのイメージをつくってきた。
テレグラムとはテレグラムはフェイスブック、通信アプリ「ワッツアップ」などと並ぶ人気のアプリで、ドゥロフ氏によると月間利用者は世界中で約9億8000万人。
情報の行き来は暗号化されており、ほかのアプリよりも秘蔵性が高いと言われているが、「秘密のチャット」機能はデフォルトにはなっておらず、「ほとんどの情報は暗号化されていない」(英サイト「コンピューター・ウィークリー」、8月24日付)。
ロシア、ウクライナの政府関係者及び戦場の兵士らに頻繁に使われており、イランや香港の民主化運動の参加者も利用する。ワッツアップの場合は情報交換のためにグループ化できる人数は最大で1000人だが、テレグラムは20万人まで可能だ。
パリ検察当局によると、ドゥロフ氏には児童ポルノ画像配布や詐欺、麻薬取引などの組織的な違法行為をほう助した、事前の許可なく暗号通信サービスを提供したなどの疑いがあるという。
もし組織的な違法行為をほう助したとして有罪になれば、最長で10年の禁錮刑、罰金50万ユーロ(約8000万円)を科せられる可能性がある。また、トラフィキング、ヘイトクライム、児童への性犯罪についてのフランス当局からのたび重なる連絡に対応してこなかったという。
欧州連合(EU)も動き出している。EUは大規模IT企業の規制を定める「デジタルサービス法」使って、Xなどに違法コンテンツの削除を要求しているが、規制対象となるのは欧州での月間利用者が4500万人を超えるサービスだ。テレグラムがこれに該当するかどうかを精査中だ。