秘蔵性が高いと言われる、ロシアで生まれた通信アプリ「テレグラム」の創業者で最高経営責任者の(CEO)パベル・ドゥロフ氏が、8月24日、パリ郊外の空港で仏警察に逮捕された。
仏当局によると、プライベートジェットで到着した同氏には、テレグラムが犯罪の連絡手段として使われているにもかかわらず、運営者として監視や管理を怠ったなどの疑いがあるという。
通信アプリやソーシャルメディア上でさまざまな声が発信されるようになって久しいが、米ソーシャルメディア大手メタのマーク・ザッカーバーグCEOやX(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏がネットワーク上で行き来した情報の内容によって逮捕される構図は想像しにくい。
プラットフォーム運営者側に情報の管理・監視不届きの責任を負わせえる形を取ったドゥロフ氏の逮捕劇はプラットフォーム側にとっても大きな衝撃となったに違いない。
経営陣トップの身柄の拘束まで行われた背景には何があったのか。
ドゥロフ氏とはドゥロフ氏は1984年、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで生まれた。現在39歳。奇遇だが、誕生年はザッカーバーグ氏と同じである。
母がウクライナ人、父がロシア人で、2007年、20代前半で米フェイスブックのロシア版と言える「VKontakte」(通称「VK」)を共同創設した。VKはロシア最大のSNSに成長していく。
2013年、ドゥロフ氏は兄とともにテレグラムを始めた。翌年、ロシア政府からウクライナ人のVK利用者の個人情報を引き渡すよう言われたことをきっかけに、ドゥルフ氏は母国を去ることに。
所有していたVKの株は親ロシア政府の新興財閥に3億ドル(現在の換算では約420億円)で売却された。
今はフランスの他にアラブ首長国連邦(UAE)の国籍を持ち、UAEの中心都市ドバイに居を構えて、テレグラムを運営してきた。
既にロシア国民ではなくなったが、2014年以降、50回以上、ロシアを訪れている。