地面すれすれの車高と、派手な内外装が特長のローライダー。それはカスタムを超えて一つの文化となっています。なぜローライダーのカスタムが文化なのか?生まれた歴史と、その車両の特徴を見ていきましょう。
ローライダーとはどのようなクルマなの?
ローライダーカスタムの起源
ローライダーは、単なるカスタムカーではなく、一つの文化として深く根付いています。その歴史は、アメリカ、特にカリフォルニア州のメキシコ系アメリカ人(チカーノ)のコミュニティと深く結びついています。
1940年代、アメリカ西海岸のメキシコ系移民たちは、経済的な理由から中古車を購入することが多く、特に1930年代から1940年代に製造されたシボレーなどが人気でした。彼らは、これらの古い車を自分たちの手で改造し、新車に負けないような美しさと豪華さを追求していきます。
1950年代の中頃には、このあまりにも低い車高のローライダーを取り締まるべく、カルフォルニア州で車高制限法が制定され、極端に低い車高が違法となります。これに対抗する形で可変式サスペンションの開発が始まりました。
1960年代には車高を自由に調整できるハイドロリクス(油圧式サスペンション)がローライダーのカスタムに採用されるようになり、さらにチカーノ運動(メキシコ系アメリカ人の公民権運動)とローライダー文化が結びついたのもこの頃でした。
ローライダー文化は1970年代には西海岸を中心に広がり始め、1980年代にはヒップホップとの結びつきも強まります。カーショーやイベントも大規模化し、1990年代にはアメリカ全土にローライダー文化が広がり、国際的にも注目を集めるようになるのです。
アイデンティティの表現でもあったローライダー
なぜそこまでしてローライダーにこだわっていたのか?と疑問に思うことでしょう。
ローライダーはメキシコ系アメリカ人にとって、自分たちのアイデンティティや誇りを表現する重要な手段でもあったのです。また当初は、低所得層の若者たちが社会から見下される中で、自分たちだけのスタイルを確立し、社会への抵抗の象徴でもありました。