前頭前野はヒトで最も発達している脳領域であり、ヒトと動物を大きく分ける場所でもあります。

前頭前野は思考や想像、記憶、判断、計画、実践といった、ヒトをヒトたらしめる知的行動に必要な認知機能を司る場所なのです。

この領域が活発だと思考力や計画性に優れ、先の実験で示されたように、長期的な利益を見越して自制心を持った行動を取ることができます。

反対に、前頭前野の活動が衰えていると、物忘れが増えたり、感情的になったり、やる気が落ちてキレやすくなるなどが指摘されています。

食べ物の選択は動物にとっても大切ですが、野生下にいる動物たちが長期的な健康を見越して、目先の美味しい獲物をスルーすることは基本的にあり得ません。

長期的な健康を考えて食べ物を選べるのはヒトに特有の行動です。

そう考えると、ヒトで最も発達している「前頭前野」が健康的な食べ物のチョイスに関与しているのは納得できることでしょう。

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参考文献

健康を優先した食べ物の選択における脳機構を解明: おいしさの誘惑を乗り越える自制心
https://www.nips.ac.jp/release/2024/07/post_545.html

元論文

Healthy dietary choices involve prefrontal mechanisms associated with long-term reward maximization but not working memory
https://doi.org/10.1093/cercor/bhae302

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部