雌雄モザイクの原因

雌雄モザイクは、主に節足動物(昆虫・甲殻類など)や鳥類で観察されています。

例えば2023年には、雌雄モザイクのロブスターが発見され、大きな話題を呼びました。

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雌雄モザイクは、主に遺伝子の異常によって生じると考えられています。

例えば、昆虫や甲殻類では、受精卵の発生過程で性染色体に異常が起きることで、雌雄モザイクとなる可能性があります。

これらの生物では、受精卵が最初に分裂して2個の細胞になる時、そのうちの1つが右側、もう1つが左側となります。

この最初の細胞分裂の際、本来であれば2つのオス細胞になるところが、間違ってオス細胞1つとメス細胞1つに分かれてしまうことがあるようです。そしてその後は、間違ったままそれぞれコピーされていきます。

雌雄モザイクのタテハチョウ
雌雄モザイクのタテハチョウ / Credit:Wikipedia Commons_Gynandromorphism

つまり、受精卵の細胞分裂の最初のエラーが原因で、その個体は異なった半身を持つようになるのです。

雌雄モザイクのロブスターにも同じ現象が起こったと考えられています。

一方、今回発見された雌雄モザイクのスグロミツドリに関しては、調査・研究がなされていないため、正確には分かりません。

どちらの生殖器を持っているかも分かっていません。

それでも、科学者たちは「卵細胞の生成におけるエラー」だと推測しています。

鳥類では、W染色体とZ染色体をもつ融合卵子が、2つの異なる精子と受精することで、雌雄モザイクが生じると考えられている
鳥類では、W染色体とZ染色体をもつ融合卵子が、2つの異なる精子と受精することで、雌雄モザイクが生じると考えられている / Credit:Photo Anne R. Lindsay

鳥類では、このエラーによってW染色体とZ染色体をもつ卵子が融合することがあるのだとか。

そして融合した「異常な卵子」が2つの異なる精子と同時に受精することで、1つの受精卵に2つの異なる性を持つ細胞(ZZのオスとZWのメス)が生まれます。

それぞれの細胞分裂が進行することで、片方が右半身、もう片方が左半身となるのです。

またこのような鳥類の雌雄モザイクでは、左半身と右半身がそれぞれ異なる精子に由来するため、性別だけでなく遺伝子も別人(兄弟レベルの近さ)になるのだとか。

それでも鳥類における雌雄モザイクは、節足動物における事例に比べて稀であり、その発生機構は完全には理解されていません。