そのためフードデリバリーサービスの拡大は、人々の健康に悪影響を及ぼしている可能性があります。
そこで今回の研究チームは、パンデミックを機に急激に拡大してきたフードデリバリーサービスの利用が、人々の健康に対してどのように影響しているか、また利用率が世帯によってどのように異なるか調査することにしたのです。
研究では、2019年2月の時点でイギリスに住む1521世帯を対象に、フードデリバリーサービスの利用頻度を調査しました。
そして彼らの社会的地位や健康(体重)との関連性を比較しました。
ちなみに、ここで言う「社会的地位」は、イギリスの出版業界合同の調査機関「National Readership Survey(現在は解散し、PAMCoに移行)」が、2018年に発表した職業にもとづく分類を考慮しています。
例えば、以下のように分類されていました。
- A:上級管理職、行政職
- B:中級管理職
- C1:監督、下級管理職
- C2:熟練の肉体労働者
- D:半熟練および未熟練の肉体労働者
- E:公的年金受給者、非正規労働者、公的給付のみの失業者
今回の研究では、これら職業の違いだけでなく、世帯収入の違いを考慮し、社会的地位を「高」「中高」「中低」「低」の4種類に分類しました。
ここで、所得に着目した理由は、低所得の人ほど高カロリー食品に依存しがちな傾向があり、低所得層ほど肥満や健康問題を抱えやすいという報告があるためです。
こうした格差と健康問題の傾向が、フードデリバリーサービスの利用にも関連するかに研究チームは着目したのです。
社会的地位が低い人はフードデリバリーの利用率が2倍以上も高い
分析の結果、回答者の約13%が1週間に1度、フードデリバリーで料理を注文したと分かりました。
また、回答者の約16%が、ひと月に1度、オンラインで食材を購入していると分かりました。(こちらは料理ではなく野菜などのオンライン購入)