フランシスコ教皇は2014年、教会内での聖職者による性的虐待を根絶するための措置を講じるように命じた。同委員会は、虐待被害者の声を聴き、必要な改革と保護のメカニズムの確立を目指してきた。報告書は「被害者が情報へアクセスしやすくなることを願う。被害者に関するすべての情報は、プライバシー保護を死守しながら公開されるべきだ」と訴えている。同時に、教会内で聖職者の性犯罪に対する責任を定め、「虐待案件を効率的かつ厳格に扱うためにはバチカン当局間のより緊密な連携が求められる」と指摘している。
報告書の重要な部分は、各地域教会における未成年者保護の現状に焦点を当てている箇所だ。委員会は毎年15~20の教区を審査し、進展を分析して改善点を探ってきた。最近では、メキシコ、ベルギー、パプアニューギニア、カメルーン、さらにコンソラータ宣教会および聖霊修道会(男女双方)において調査が行われた。
特にアメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの一部地域では、未成年者保護のための進展が見られる一方、アフリカ、アジア、中南米の地域では必要な構造や資源が不足しているという。委員会は、世界の地域教会に対し、より多くの連帯を求め、資源が不足している教会共同体への支援を強化するよう訴えている。
報告書のもう一つの重要な点は、ローマ教皇庁が保護措置の発展と普及の中心的役割を担っている点だ。報告書は、教皇庁内での透明性を高めるだけでなく、基準の統一と明確なコミュニケーション体制の整備が必要とし、「全世界の被害者に対して同じ保護基準を保証すべきだ」と求めている。また、委員会は教義省の規律部門による統計情報の公開が限られている点を批判し、虐待案件をより効果的に追跡するために、このデータへの包括的なアクセスが求められるとしている。教会指導層と世界教会に対しては、「教会全体に対して、虐待防止を共同の責任として捉えるべきだ」と呼びかけている(バチカンニュース 独語版から)。