熟練したエコロケーションの使い手にもなると、自転車に乗ったり、バスケットボールを楽しむこともできるといいます。
まさに彼らは音で世界を見ることができるのです。
さらにダラム大学による2021年の研究で、エコロケーションを使えるのは盲目の方々だけではないことも判明しました(PLOS ONE, 2021)。
では、その習得方法を具体的に見てみましょう。
誰でも「エコロケーション」の使い手になれる!
音響学者たちはこれまでの研究で、コウモリやイルカに比べると遥かに見劣りするものの、人でも十分にエコロケーションを使えることを明らかにしています。
エコロケーションの習得ために身につけるべきことは、たったの2つ。
1つは舌と口蓋(こうがい:口内の天井部分)を使って舌打ちによるクリック音を出す方法を覚えること。
もう1つはクリック音の反射による音のわずかな違いや変化を聞き分けられるようにすることです。
クリック音の出し方はまず、舌先を上の歯のすぐ後ろの口蓋に強く吸着させるように押し当てます。
そして口蓋と舌の吸着面を瞬時に引き離すことで「タンッ!」というクリック音が出せます。
これは特に難しいスキルを必要としないので、ほとんどの人がすぐにできるようになるでしょう。
これを踏まえて、ダラム大は2021年に、普通に目の見える健常者14名(平均年齢26歳)と盲目の視覚障害者12名(平均年齢45歳)を対象に、エコロケーションが習得できるかどうかの訓練を行いました。
実験では10週間にわたり計20回のトレーニングセッションを順番に実施します(週2回の各2〜3時間のトレーニング)。
最初は目隠しをした状態(視覚障害の被験者はそのまま)でクリック音を発してもらい、目の前に置いた標的のサイズや角度を反響だけで見分けられるように訓練しました。
その図解がこちらです。