エコロケーション(反響定位)とは、自らが発した音や超音波の反響によって、視覚に頼らずに物体までの距離や方向、大きさなどを検出できる能力です。
自然界では主にコウモリやイルカが使っていますが、人間も例外ではありません。
盲目の視覚障害者の中には、舌打ちのクリック音や杖をコツコツ鳴らすことで、周囲の状況を”音で視る”ことのできる人たちがいます。
普通に目の見える人からしたら超能力者のように見えますが、実は英ダラム大学(Durham University)の研究で、エコロケーションの能力はたった10週間の訓練で誰でも習得できることがわかっているのです。
私たちもエコロケーションの使い手になれるかもしれません。
研究の詳細は2024年6月20日付で科学雑誌『Cerebral Cortex』に掲載されています。
目次
- コウモリは「目隠し」しても普通に飛べる
- 誰でも「エコロケーション」の使い手になれる!
コウモリは「目隠し」しても普通に飛べる
コウモリは暗闇でも木々や建物の壁にぶつかることなく、ヒラヒラと空を飛ぶことができます。
これは彼らがエコロケーションの使い手だからです。
コウモリは口から超音波パルスを発することで、その反射音を大きな耳で拾い上げ、周囲の物体までの距離や大きさ、獲物の位置などを検出することができます。
そのため、彼らが空を飛ぶのに視覚に頼る必要はありません。
実験ではコウモリの耳を塞ぐとうまく飛べなくなるのに、目隠しをするだけでは飛行に何の支障もないことが明らかにされているのです。
一方で、盲目の視覚障害者の中にもエコロケーションを使える人がいます。
彼らは主に舌打ちでクリック音を発したり、杖で地面をコツコツ叩いたり、足音を踏み鳴らすことで、その音の跳ね返りを耳で拾い上げて、コウモリと同じように周囲の環境を把握することができるのです。