今回の戦闘部隊の派遣前から、北朝鮮とロシアは密接な軍事支援を続けており、北朝鮮は多数の兵器、弾薬などを援助していた。

2023年8月9日には、金正恩総書記が朝鮮労働党の中央軍事委員会の会議に出席し、「重大な軍事的対策に関する命令書」に署名して、「威力ある打撃手段を多く保有し、部隊に実戦配備する事業を引き続き深化させなければならない」と呼びかけた。その際、砲弾の生産能力を高める一連の事業を「国防経済事業」と表現し、兵器の生産を単なる国防政策ではなく、輸出などを含めた防衛産業として位置づけた。

輸出として想起されるのがロシアへの兵器輸出だった。北朝鮮は、2022年にロシアの民間軍事会社「ワグネル」に兵器を売却して以来、これまで900万発以上の弾薬を送ったという。

弾薬は朝鮮有事に備えて、約200ヵ所の地下工場で製造し、自国の分も戦時に最大3ヵ月持ちこたえられる量を確保しているとみられる。

ミサイルについては、北朝鮮がロシアに提供したミサイルは、短距離弾道ミサイル「KN23」や「KN24」だが、命中率が低く不発弾が多いとも言われる。「KN23」は、正式には火星11Aと呼ばれ、固体燃料式戦術弾道ミサイルであり、ロシアのウクライナ侵攻において初めて実戦投入された可能性が高い。

ウクライナで使用された北朝鮮製ミサイルの残骸から、米欧や日本が製造した部品が確認された。容易に購入できる商用品から半導体などの汎用部品を取り外し、武器に流用していると推測されている。

また、ウクライナにおいて、ロシアが発射した122ミリ、152ミリ砲弾の6割を占める北朝鮮製の品質が低いため、うまく標的に当たらず、適時に爆発しないことが明らかとなった。50年以上前に製造された老朽化した砲弾が混じっている上、元々、生産の精度が低く、保管の過程で湿度や温度の管理ができていない可能性がある。

北朝鮮のロシア支援の意味