ころやわの正体は、表面にフローリング調のシートを敷く衝撃吸収材です。広域に体重を乗せている時は硬い素材としてそれを支えますが、狭く小さい1点に大きな重量がかかった場合は、それを優しく柔らかく受け止める仕組みです。
「ころやわは、日本全国600以上の医療機関・福祉施設で採用されています」
床面だけでなく壁面にも施工
2024年9月13日、Magic Shieldsは大阪府立砂川厚生福祉センター内の居室にころやわの壁面施工を行いました。床ではなく、壁にころやわを施工する例はこれが初めてといいます。
「居室の壁にころやわを施工した理由は、強度行動障害の自傷行為に対応するためです。壁に頭を打ち付ける行為を防ぐため、それまではヘッドギアの着用が試みられてきました」
しかし、ヘッドギアは装着者に少なからぬ負担を与えてしまうとのこと。そうした理由から、いざという時にだけ柔らかくなる壁の施工に踏み切ったそうです。もちろん、床材としても既に多くの実績があります。
「先程もご説明したように、ころやわは国内600以上の施設に対する導入実績があります。そして、これだけ導入させていただいていますが転倒骨折の報告はほとんどありません」
転倒事故と大腿骨骨折
さて、今回のインタビューを行うにあたり、下村氏との日程調整から取材日までの間に大変なことが起きてしまいました。それは上皇后美智子様が、お住まいの仙洞御所で転倒、右大腿骨上部を骨折してしまったという事故です。
この大腿骨上部は、転倒の際に最も負傷しやすい箇所といいます。
「この骨格模型をご覧ください。大腿骨上部は、上に出っ張っていることが分かります。ここを強く床に打ちつけて骨折してしまう、ということが多発しています」
歳を重ねると、下半身の筋肉が落ちてきます。言い換えれば、大腿骨を守る「生まれながらのクッション」がなくなってしまうのです。さらに「転倒による骨折をなくす」ということは「治療にかかる医療費を抑えられる」という意味でもあります。