では、月曜日や元旦で自死リスクが高まるのはどうしてでしょうか。
研究チームは考えられる原因として、仕事のプレッシャーによるストレスや週末のアルコール消費率の上昇などを挙げています。
辛い仕事で悩んでいる人は「また地獄の日々が始まる」と絶望してしまうのです。
この憂鬱な気持ちに共感する人も少なくないでしょう。
またアルコールは脳の働きを抑制するため、お酒を飲んだ人は衝動的な行動を取ることが増えます。
そしてアルコールは一時的に気分を高揚させるものの、その後に気分の低下が生じるため、抑うつ症状を悪化させやすく、これが自死率を高めている可能性があります。
さらに週末や大晦日に一人で過ごさなければいけない場合、その孤独が「人生のむなしさ」を強く感じさせ、月曜日の憂鬱を強める場合もあるでしょう。
いずれにせよ、私たちの多くは月曜日や元旦などの「新たなスタートの日」に死にたくなるほどの苦しみを抱きやすいようです。
研究チームは、このようなデータを考慮して、自死防止計画を立てたり、啓発キャンペーンを行ったりすることで、少しでも世界から衝動的な自死を無くしたいと考えています。
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参考文献
Suicide risk is higher on Mondays and New Year’s Day
https://www.scimex.org/newsfeed/suicide-risk-is-higher-on-mondays-and-new-years-day
元論文
Association of holidays and the day of the week with suicide risk: multicountry, two stage, time series study
https://doi.org/10.1136/bmj-2024-077262
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。