世界保健機関によると、2019年に自死で亡くなった人は70万人を超えており、死亡者全体の約1.3%を占め、マラリア、HIV/エイズ、乳がんによる死亡者数を上回りました。
しかし自死は防ぐことのできる死因であり、そのためにも自死リスクについてより正確に把握することが大切です。
そこで今回、釜山大学校に所属するワンヒ・リー氏ら研究チームは、どのタイミングで自殺リスクが高まるのか、世界的な傾向を改めて調査することにしました。
自死リスクは「月曜日」と「元旦」に高まる
研究チームは、健康・環境ストレス・気候変動などの分野における国際的なプロジェクト「MCC Collaborative Research Network」のデータベースから、26カ国740地点の自死データを収集しました。
このデータには地点別の毎日の自殺件数(合計170万1286件)が含まれており、研究チームは、ここから自死リスクが高まるタイミングを分析しました。
その結果、自死率は韓国、日本、南アフリカ、エストニアで最も高く、フィリピン、ブラジル、メキシコ、パラグアイで最も低いと判明。
また全ての国において、自死者数は女性よりも男性が多く、65歳以上よりも65歳以下で多いと分かりました。
やはり働いている世代の人々が自死を選択しやすいのです。
さらに全ての国において平日の自死リスクは、月曜日にピークを迎えており、自死者全体の15~18%がこの曜日に亡くなっていました。
月曜日に生じる憂鬱は、多くの人に一線を越えさせていたのです。
ちなみに、週末(土曜日や日曜日)の自死リスクに関しては国によって様々で、南米や南アフリカなどではリスクが高まるのに対し、アジアや北米、ヨーロッパではリスクが低くなりました。
そして1年を通して考慮すると、全ての国で元旦に自死リスクが増加しており、特に男性で顕著でした。