しかし分析を行ったところ、猫に対する知識や経験が高いと自己評価した人ほど、猫が喜ぶ「緑色」だけでなく、猫が好まないと感じる「赤色」部分にも触れてしまう傾向があったのです。

一方で、猫に詳しくないと自己評価した人たちや仕事で動物に関わる機会がある人たち(獣医などのプロ)は、猫が好む「緑色」の部分を中心に触れており、猫が嫌がる「赤色」部分に手を伸ばすケースは稀でした。

この結果は猫に対する知識や経験などの自己評価が猫たちに思いもよらない負担をかける要因となりうることを示します。

そのため研究者たちは「知識や経験などの要因は、猫を飼うのに適しているかどうかを判断するのに必ずしも適した指標にはなりえない」と結論しました。

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猫に接するときも配慮と遠慮の心が必要 / Credit: canva, ナゾロジー編集部

また被験者たちの性格特性と猫に触れた場所を比較すると、別の興味深い事実も見えました。

たとえば神経質な性格特性を持つ人々は、近づいてきた猫を抱いたり拘束しようとする傾向が見られたのです。(※高齢の被験者たちも猫を拘束する傾向がありました)

外交的な人は猫とのコミュニケーションにも積極的だった一方で、猫に好まれない部位を触る傾向も高くなりました。

一方で協調性が高い人は、猫の嫌がる部分に触れることが少ない傾向にありました。

知識と経験が動物の幸福の逆効果になる可能性がある
知識と経験が動物の幸福の逆効果になる可能性がある / Credit: canva, ナゾロジー編集部

この結果を参考にすることで研究者たちは「猫との触れ合いを楽しむための最適な方法を周知する教材が開発できる」と述べています。

また最後に「里親の条件として猫の飼育経験を付加すべきでない。なぜなら適切なサポートを受ければ、経験のない人も猫の素晴らしい保護者になれるから」と述べました。

無類の猫好きだからといって、全身をベタベタ触るのはやめた方がいいかもしれません。

※この記事は2022年8月に掲載したものを再編集してお送りしています。