そこでノッティンガム大学の研究者たちは2022年に、代表的なペットである「猫」を対象として、人間側の知識・経験・性格特性が猫の「幸福」と本当に連動しているかを調べることにしました。
調査にあたってはまず119人の被験者が募集され、猫を飼った経験や一緒に過ごした年月に加えて、自分がどれだけ猫の行動や仕草に詳しいかを自己評価してもらいました。
同時に被験者たちには心理テストを受けてもらい、協調性・誠実性・外向性・神経症・開放性に関する評価が行われました。
人間側の調査が終わると、いよいよ猫との「触れ合いタイム」が開始されます。
被験者たちは見知らぬ3匹の猫と引き合わされ、5分の間、近づいてきた猫を自由に触る権利が与えられました。(※自分から猫を追いかけることは禁止されていました)
被験者たちと猫の触れ合いはビデオに記録され、研究者たちの分析にまわされます。
すると意外な結果が明らかになったのです。
「自称」猫に詳しい人ほど、猫が嫌がる場所をモフってしまう
分析において特に注目されたのは、人間が猫のどこに手を触れるかでした。
下図に示したように、一般に猫には顎の下や耳の付け根など触れられると嬉しい「緑色」の部分と、猫によって喜んだり嫌がったり反応が異なる「黄色」の部分、多くの猫が触れられると嫌がるお腹などの「赤色」の部分があります。
研究者たちは「触れ合いタイム」中に被験者たちが猫のどこにどれだけ触ったかを測定し、被験者たちに答えてもらったアンケート内容と比較しました。
事前の予想では、猫に詳しいと答えた人は主に「緑色」部分に触れる機会が多く、詳しくない人はうっかり「赤色」部分に触れてしまう機会が多いと思われていました。