10月27日の明治安田J2リーグ第36節で、J3降格圏内の18位に沈む栃木SCは、2位につける清水エスパルスに0-1で破れた(カンセキスタジアムとちぎ)。17位の大分トリニータが、ブラウブリッツ秋田戦(ソユースタジアム2-0)で勝利したため、栃木は2015シーズン(22位)以来となる2度目のJ3降格が決まった。
この日も1トップとして先発したのは、40歳の元日本代表FW矢野貴章。シーズン中盤からはすっかり出番を失っていたが、残留争いで苦戦を強いられているチーム事情にあって、イレブンを落ち着かせるベテランが必要と感じた小林伸二監督の意図だろう。
しかし、このピンチに四十路のプレーヤーをピッチに送り出さざるを得ない現状が栃木の苦境を物語っている。事実、後半7分に矢野に代わって投入されたFW宮崎鴻の高さと強さに、清水DF陣は大いに手を焼いた。宮崎がスタメンだったら、結果は違っていたかもしれない。
ここでは清水戦を振り返ると共に、今2024シーズンを通した低迷の要因や、来2025シーズンに向けてのポジティブな要素に着目したい。
“幻のゴール”後も試合を支配した栃木
ホイッスル直後からペース配分など考えず、フルスロットルで清水に襲い掛かった栃木イレブン。そして前半3分、FW南野遥海のCKのこぼれ球に反応したMF石田凌太郎がミドルシュートを清水ゴールに突き刺す。誰しもが栃木の意地を見せる先制ゴールと思った矢先、岡部拓人主審が清水GK沖悠哉のアピールを受ける形で副審と協議すると、何とゴールを取り消してしまう。
オフサイドの位置にいた矢野がGKのブラインドとなったという判定だったが、そもそもゴールの瞬間、副審の旗は上がっていなかった上に、リプレーを見返すと、矢野はシュートされたボールから逃げる動きをしていた。