しかし紙の断面は刃物に比べてギザギザしているため、切り口が粗くなり、余計に痛みが強く現れやすいのです。
さらに紙には目に見えないレベルの小さな化学物質を傷口の中に残すことがあります。
それらが表皮の奥の真皮層を刺激して、痛みを強くすることがあるのです。
研究チームは今回、このような指の切り傷を引き起こしやすい「紙の厚さ」を調べてみました。
最も指を切りやすい「紙の厚さ」は?
この研究では、本や雑誌のページ、オフィス用紙、ティッシュペーパー、名刺、写真プリントなど、様々な種類と厚みの紙を対象としました。
実験方法としては、人間の皮膚を正確に模倣できるゼラチンを使った「人工指」を作製。
そこに小型ロボットを用いて、あらゆる角度で紙媒体に切り傷をつけるよう押し当てます。
そして一連の実験の結果、最も指を切りやすい紙の厚さは65μm(0.065mm)であることが判明しました。
この厚みが皮膚を切りやすい理由はその物理的な特性にあります。
65μm(0.065mm)の厚みの紙は皮膚に接触したときに、ぐにゃりと曲がってしまうほど薄くはなく、それでいて圧力が紙全体に分散されてしまうほど厚くもありません。
このバランスが紙の切れ味を最大化させていると考えられるのです。
また紙の切れ味には角度も重要であることがわかりました。
実験によると、最も指を切りやすくする紙の角度は人工指の皮膚面に対して15度で当たった場合でした。
研究者の説明によりますと、紙が15度の角度で皮膚に接触すると、適度な厚さ(65μm)であれば、曲がりが最小限に抑えられ、皮膚を切る力が効率的に集中するといいます。
そして紙を曲げずに切れ味を最大化することができたのです。
結論としてまとめると、最も指を切りやすいのは65μm(0.065mm)の厚みの紙が15度で当たったときと考えられます。