レタスはサンドイッチやハンバーガーのお供としてよく食されますが、全体の約95%が水分であり、栄養価はそれほど高くありません。
しかしスペイン・バレンシア工科大学(UPV)はこのほど、レタスの栄養価を大幅に高めた「黄金レタス(Golden Lettuce)」の開発に成功したと発表しました。
黄金レタスはその名の通り、葉の色が黄金色をしており、「β-カロテン」という栄養素が通常の30倍も含まれているものです。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換されることから、黄金レタスはビタミンA欠乏症が蔓延している発展途上国の子供たちにも役立つと期待されています。
研究の詳細は2024年8月9日付で科学雑誌『Plant Journal』に掲載されました。
目次
- 「黄金レタス」を開発しようと決めた理由とは?
- どうやって「黄金レタス」を作ったのか?
「黄金レタス」を開発しようと決めた理由とは?
β-カロテンは、黄色・オレンジ・赤色などを示す天然色素の一群である「カロテノイド」の一種です。
食材としてはニンジンやほうれん草、カボチャなどに含まれています。
またβ-カロテンは「ビタミンA」の前駆体(ある化学物質が生成する前の段階の物質のこと)であり、体内に摂取された後、小腸の酵素によってビタミンAへと変換され、体に作用します。
主な効果には抗酸化作用や眼病予防、免疫力の向上、ある種のがんの抑制といったものが挙げられます。
その一方で研究チームは以前から、発展途上国における「ビタミンA欠乏症」の問題に関心を寄せていました。
特にアフリカやインド亜大陸、東南アジアの一部地域を中心に、約1億4000万人の子供たちがビタミンA欠乏症に陥っているといわれています。
これはビタミンAを含む野菜や果物、動物性食材の入手が困難になっていることが原因です。
ビタミンA欠乏症になると、最初に「夜盲症(やもうしょう)」という症状が現れ、夜間や暗い場所での視力が著しく低下します。