この結果は、ストレスによりミトコンドリアはDNAの一部を放出しやすくなり、これらの断片が細胞核内部のゲノムに感染している可能性があることを示しています。
前頭前野は脳内の他の領域に比べて非常に活発にエネルギーを消費し計画、意思決定、問題解決、社会的行動、感情の調整など、複雑な認知機能を担っています。
もしかしたら前頭前野のミトコンドリアは脳内の他の領域に比べてストレスに晒されやすい状態になっているのかもしれません。
研究者たちは今後、ミトコンドリアDNA断片の移行が精神疾患のリスクとどのように関係するかを調べていくと述べています。
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参考文献
Mitochondria Are Flinging Their DNA into Our Brain Cells
https://www.cuimc.columbia.edu/news/mitochondria-are-flinging-their-dna-our-brain-cells
元論文
Somatic nuclear mitochondrial DNA insertions are prevalent in the human brain and accumulate over time in fibroblasts
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3002723
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部