北朝鮮が「政府報告書」の中で「日本帝国軍の従軍慰安婦」「過去の犯罪の清算」に言及したことに注目が集まっている。
ちなみに、韓国に対しては「大韓民国もまた、この瞬間においてさえ、アメリカの核戦略資産を朝鮮半島に導入し、アメリカや日本と共にあらゆる種類の戦争訓練を行い、朝鮮民主主義人民共和国の安全保障に対する恒常的な脅威を与え、経済発展および国民の生活向上のための重大な障害を形成している」と強調している。
要するに、北朝鮮は人権問題が進展しないのは米日韓らの外部の敵国の妨害のせいにする一方、人権問題を追及する声に対しては「内政干渉」という表現で一蹴している。前回の「政府報告書」と同様だ。
「政府報告書」は最後に、「単に異なる思想や理念を追求しているという理由で朝鮮民主主義人民共和国の社会主義体制を崩壊させようとするいかなる試みも、我が人民の人権に対する侵害であり、その尊厳に対する侮辱だ」と強調している。
参考までに「政府報告書」の「将来の目標」の項目で、
DPRKは、国民の権利と利益の保護、ならびに福祉の増進を活動の最高原則とし、持続可能な経済発展を通じて国民の生活をさらに向上させ、国の包括的な発展を達成するための努力を継続 DPRKは、国際的人権動向と国内の実情に応じて人権の促進と保護のための法体系を強化・整備し、国民の法的権利と利益を最大限に保証するとともに、国家開発目標と密接に結びつけて持続可能な開発目標(2030アジェンダ)の実施において国際社会と協力する DPRKは、「児童の権利に関する条約」や「女子差別撤廃条約」など、自国が締約国である国際的人権条約に基づく義務を誠実に履行し、人権分野における国際交流と協力をさらに促進していく
と記述している。
残念ながら、北朝鮮の「政府報告書」は虚偽が多く、同国の人権状況を正確かつ客観的に報告していない。
米国務省が毎年公表する「宗教の自由に関する年次報告書」や迫害されているキリスト教徒を支援する超教派の宣教団体「オープン・ドアーズ」、国際人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」((Human Rights Watch= HRW)の報告書では、北朝鮮内の宗教者への迫害、女性の権利の蹂躙状況が赤裸々に報じられている(「北政府「人権報告書」は嘘だらけだ!」2019年5月11日参考)