当方は17頁からなる北朝鮮の「政府報告書」を入手した。同報告書は冒頭で、
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)は偉大な朝鮮労働党の賢明な指導のもと、政策や法制度および実務的措置を採用し、その実施過程に科学的かつ効果的な指導を提供することにより、政治、経済、文化の全分野で人々が権利を十分に享受できる条件を整える努力で顕著な成果を収めた。DPRKの社会体制は、人々を中心に据えたものであり、労働者階級があらゆるものの主人であり、社会のすべてが彼らに奉仕する。DPRKは政策立案と実施の基本原則として、人々の尊厳、権利、利益を守ることを掲げ、どのような仕事においても人々の利益と利便性を最優先にする『人民第一主義』の立場を一貫して維持してきた。報告期間中、DPRKは国家と社会の主人として人々が政治的権利を十分に享受できるよう積極的な措置を講じ、国民経済の包括的発展のための主要な目標を設定し、国民の福祉向上のために多大な業務を遂行した。
と記述している。
北朝鮮の「政府報告書」で注目される点は、「人権の促進と保護に対する朝鮮民主主義人民共和国の努力は、深刻な障害や課題に直面しており、これらは時間の経過とともに増加している」と指摘し、「人民の権利の進展で最大の障害」として、米国のほか、特に日本や韓国に対して厳しい批判を展開させていることだ。
米国に対しては「アメリカ合衆国は朝鮮民主主義人民共和国の建国当初から一貫して敵対的な政策を追求し、政治、経済、軍事、文化などあらゆる分野でその内政に干渉し、人民が選択した社会主義制度を崩壊させようと必死の努力を続けてきた」と指摘し、日本に対しては「日本は、40年にわたる朝鮮への軍事侵略の中で、強制連行や拉致、数百万人の朝鮮人の虐殺、日本帝国軍による従軍慰安婦としての女性の徴用などの反人道的犯罪を行い、朝鮮人民に取り返しのつかない被害を与えてきたにもかかわらず、過去の犯罪を清算しておらず、依然として朝鮮民主主義人民共和国に対する敵対的な政策を続けている」と述べている。