それでも高石氏が負けた理由は自民党という組織が極端な思想にぶれることを嫌ったからにほかなりません。正に打算です。岸田氏が暗躍したともされますが、最終判断したのは各議員であり、その議員の多くは自己保身を考えたのです。長年、一定層から根強い支持があった石破氏のほうがよかろうと判断したのです。

が、石破氏の最大の間違いは「お友達」が限られていて、森山氏を幹事長に据えたことにありました。その上、極めて健康状態が悪い菅氏を党副総裁にして党内を保守 vs.中道と、菅 vs. 麻生という2つの断面を作り出したのです。

これは戦略的に稚拙だったし、例の2千万円問題も森山氏の判断ですが、ご承知の通り、あまりにも情けない事態となったのです(当の萩生田氏は怒り狂い、その2千万円をすぐに自民に返してしまいました)。

石破氏では首相としてのかじ取りどころか自民党内のベクトルも纏められないでしょう。石破氏は確かに首相の座に一度は座ってみたかったのです。ただ、こうなっては首相としての実務に本格的に取り掛かる前に辞めるべきです。

私は辛抱強い方であまり過激な判断はしないのですが、石破氏は百害あって一利なしです。私が当初、100日間のハネムーンをすべきだと申し上げたのは石破氏はスルメイカのような人間味がある人で噛んで噛んでようやく味が出てくるタイプなので就任8日で解散コールをしてしまったことで「自分の強みも弱みもなーんもわかっていない人」になったのです。

では次を担うのは誰でしょうか?私が見る基本路線は保守と中道の中間で経験値が高く実務能力に長けている人だと見ています。そうすると候補は必然的に茂木、林両名が筆頭候補だろうと考えています。

岸田氏が再登板というシナリオを高橋洋一氏は以前述べていましたが、それはかなりバックアップ的で保険のような形でしかありえないと思います。高橋氏は論理思考と裏情報が強みですが、行動心理学のような分野は得手ではなく予想を外すこともしばしばあるのでファンの方でも話半分ぐらいに聞いた方がよいでしょう。