問題は政策協定である。細川政権のときは何もなかったので、最後は社会党が離反して瓦解したが、今回は政治改革と社会保障改革を争点にしてはどうだろうか。
政治改革では、政策活動費などの不透明な政治資金の改革より、小選挙区と比例代表の重複立候補を禁止するなど、不合理な選挙制度を30年ぶりに見直し、中途半端な区割りになっている参議院も含めて議員定数を抜本的に是正すべきだ。
最低保障年金で社会保険料は削減できる社会保障改革は、今回の総選挙で初めて争点になった日本経済の最大の問題である。維新と国民がこれを政策に入れることを求め、政策協定を結ぶべきだ。具体的な政策としては、かつて民主党政権が提案し、今回も国民と維新が公約に入れた最低保障年金が考えられる。
最大の障害は、団塊の世代の党である立民が社会保障改革を求めていないことだ。しかし野田氏は2012年におこなった社会保障と税の一体改革のときの首相である。このときは最低保障年金の財源として消費税を10%に増税する予定だったが、自民党政権が増税だけをつまみ食いしてしまった。
おまけに安倍首相が消費税の増税を2度も延期したため、社会保険料が激増して30%を超えた。基礎年金をすべて税財源にする最低保障年金で国民年金保険料25兆円がゼロになるが、それはほぼ消費税で代替できる。連合の提案している「年収の壁」もなくなる。
また国民と維新が公約した後期高齢者の9割引医療の是正は緊急の問題である。それと一体で、自民党総裁選で河野太郎氏の指摘した老人医療への「支援金」10兆円は早急に廃止すべきだ。
社会保険料を消費税に置き換える改革をこうした改革の財源としては、医療費の窓口負担を一律3割に引き上げるだけでなく、社会保険料の消費税による代替が必要である。最低保障年金(国民年金保険料の税財源化)には2%あれば足りるが、老人医療への支援金をなくすには(3割負担にしても)3%は必要だろう。