友の会顧問で、「アトミック・ピープル」に出ていた中村キクヨさんの姿があった。筆者も友の会のメンバーや他の公園訪問者とともに綱を持つ。
午前11時となり、私たちはゆっくりと、力強く、綱を引きながら、鐘を鳴らした。原爆投下、犠牲になった人、その後の生活が続いた人、そして、筆者自身の英国の家族が英空軍の爆撃隊のパイロットとしてドイツ各地に爆弾を落としたことなどが頭をかけめぐった。中村さんの背中を見ながら、綱を引いて鐘を鳴らした。この鐘の音が世界中に届くことを願って。
1分間、鐘を鳴らした後、私たちは綱を引くことを止めた。
互いに言葉を交わす中で、筆者は中村さんのところに行って、写真を撮らせてもらい、手を握った。小さいけれども、あたたかな手だった。90才近くの筆者の母の姿もダブった。「生きていてくれて、ありがとう」。そんな気持ちでいっぱいだった。
長崎市によると、原爆投下による死者は73,884人、重軽傷は74,909人である。
■
編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2024年10月25日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。