「ただ、そのプレーが大きな怪我に繋がったり、負傷した選手の現場復帰に時間がかかるという話を聞くと、我々としても心が痛いです。ではこれらの見極めをどうするかを考えたときに、判定と結果(カードの色とファウルを受けた選手の負傷の程度)、そして感情論(そのプレーを見た人が抱いた気持ち)は必ずしも一致しないと思っています」

「レッドカードを出さなければならないものもあるなかで、サッカーという競技で接触プレーはある程度認められている。ボールが高い位置にあったときに、足を上げる行為を全部禁止にして良いのか。そうではないと思います。浮いたボールに対し入っていくタイミングもある(考慮すべき点である)でしょう」

「大きな怪我に繋がった事実を耳にすれば、『違った判定があったのではないか』と我々は考えます。ただ、そうは言っても映像を見れば、『これでレッドカードを出すのは難しい』というものもあります。逆にレッドカードを出すべきだった事象も過去にはあります。選手の安全を守るという観点が今のサッカーでは大事ですので、足裏でのタックル(スパイクの裏を相手に向けるもの)や勢いのあるタックルが厳罰化されているのと同じように、足を高く上げる行為についても我々はフォーカスしています。ただ、現場(その試合)でレッドカードを出せるか。そこの難しさはあると思っています」

「競技規則上イエローカードで正しいけど、選手の怪我に繋がっている事象があるのも理解しています。ただ、その瞬間にそれは分からないので(大怪我に至っているかどうかは、その事象が起きた瞬間には分からない)。大怪我に繋がっていたら厳罰で、怪我が大きくなければレッドカードを出さなくて良いという話でもありません。たとえファウルを受けた選手がその場でふと起き上がったり、負傷退場に至らなかったりしたとしても、(反則者の)チャレンジの仕方が相手の安全を脅かす、大怪我に繋がりかねないと判断したときはレッドカードを出す。これは十分に考えられると思います」