北朝鮮が15日に軍事境界線の北側にある南北連結道路、韓国とつながる京義線と東海線の一部を爆破した際の写真が韓国聯合ニュースで掲載されていたが、その爆破シーンは韓国と北朝鮮の現在の険悪な関係を象徴的に表示していた。北朝鮮軍総参謀部は9日、韓国につながる道路と鉄道を完全に遮断し、防御用の構造物で要塞化する計画を発表済みだ。北朝鮮は今月上旬に開催された最高人民会議(国会)で憲法を改正し、韓国を「敵対国家」と明記したばかりだ。南北関係はここにきて険悪の一途を辿っている。
南北関係に話を進める前に旧約聖書の創世記に記述されているヤコブとエサウの兄弟の話を紹介する。
エサウ(兄)とヤコブ(弟)はイサクの2人の息子だ。エサウはイサクが次男のヤコブに長子権と神の祝福を与えるのを見てヤコブを妬み、殺そうとした。そこでヤコブは母親の助けを受けて、母親方の叔父ラバンのもとに避難する。ヤコブは21年間、ラバンのもとで働いた後、妻と財産をもって帰途に向かう途中、天使と闘い勝利し、神から「イスラエル」という称号を得る。そして遠方に兄エサウの姿を見て、ヤコブは7度地に伏せ、過去の出来事を詫び、全ての財物をエサウに与えた。苦労した弟の姿を見たエサウはヤコブを抱擁し、和解する、という話だ。
韓国と北朝鮮は本来兄弟国だ。金正恩総書記が韓国を「敵対国」と宣言し、核兵器で脅迫したとしてもその民族的繋がりは変わらない。DNAで検査すれば、それは一目瞭然だ。すなわち、朝鮮半島で展開している南北間の闘争、いがみ合いは兄弟喧嘩といえるわけだ。聖書ではカインとアベル、そして上述したエサウとヤコブの兄弟の話が記述されている。換言すれば、神の祝福を得た弟(アベル、ヤコブ)とそれを得られなかった兄(カイン、エサウ)との愛憎物語だ。