会社は、「個の時代だからみんな自分の能力を伸ばしてよ」って言ってるけど、能力が伸びた結果辞められたら困るから「やめられない程度に伸ばして」みたいな感じなんで。

独立はどのタイミングで?

ーーー佐久間さんは、いまフリーランスという立場になられましたが、どういう条件が揃ったときにフリーランスや起業という選択肢を取った方が良いと思いますか。

僕は、映像より扱うデータの軽い雑誌・音楽業界の変革を見て、テレビの次の変革が配信になっていくことが予想できたので、「配信でファンダムの強い番組の方が収益を稼げるという時代への変化に、自分が持っているものと経験を積んできた武器が5年か10年は合致しそうだな」と思えたから独立する勇気が出ました。

組織にいるサラリーマンのときから、そのことは分かっていて準備をしていました。会社を辞めたいとは思わなかったですけど、辞めても大丈夫な人間になろうとは思っていました。

あとは、会社を辞めてからも、自分に仕事を振ってくれるであろう取引先を3つぐらいは持っているか、ということも大切です。もう1つは、僕の場合は、映像制作だけでなく、お笑いやエンタメコンテンツをキュレーションするといったキャリアの経験が増えたので、どれかが駄目になっても食っていけるかな、と思えたこともあった。

こんな感じで、会社を辞めても大丈夫かもなって思える条件が3つか4つ重なったんで辞めました。でも、ちょっと遅かったと思います。

好きなこともやらせてもらえたし、会社は嫌いじゃなかったんです。管理職になって現場から離れなきゃいけないから辞めただけで、会社とも揉めなかったし。自分の能力とか収入とかだけ考えたら、もっと早く辞めてもよかったかもしれないなと思うこともあります。