しかし、ファーンズワース氏は、この「火山活動による温暖化」説だけでは不十分であることを次のように述べています。

気候温暖化だけでは、このような壊滅的な絶滅を引き起こすことはでません。

なぜなら、現在見られるように、熱帯地方が暑くなりすぎると、種はより涼しい高緯度に移動するからです

そこで今回、ファーンズワース氏ら研究チームは、当時の生物の化石から得られるデータと、地球の大気と海洋の循環パターンに関するコンピュータシミュレーションを組み合わせ、大量絶滅期の気候モデルを作成・分析しました。

その結果、大量絶滅が生じたペルム紀末にて、最初に大気中の二酸化炭素が増加(410ppm→ 860ppm)し、地球の気温が上昇した際、当時の海では、現代のエルニーニョをはるかに超えるような現象が生じていたと分かりました。

(ちなみに、現在の空気中の二酸化炭素濃度は、422 ppm 前後を推移しています)

世界最悪の大量絶滅を引き起こした「メガエルニーニョ」とは

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(左上)エルニーニョ現象における海水温、(左下)ラニーニャ現象おける海水温、(右)エルニーニョ・ラニーニャに伴う太平洋熱帯域の大気と海洋の変動 / Credit:気象庁

そもそもエルニーニョとは、現代において、中部・東部太平洋の赤道付近において海水温が平年より高くなり、その状態が1年ほど続く現象を指します。

逆に低い状態が続くことをラニーニャと呼び、この2つの現象はそれぞれ数年おきに発生します。

また研究が進むにつれ、エルニーニョやラニーニャは、海洋と大気の相互作用によって起きると分かっており、現在は一連の変動現象を「エルニーニョ・南方振動」と呼びます。

(具体的なメカニズムは完全には解明されていません)

そして、この周期的な変化によって、海水温だけでなく、世界中の気象が大きな影響を受けます。

近年でも、このエルニーニョ・南方振動により、降雨パターンと気温に大きな変化が生じています。