2億5200万年前に生じた大量絶滅では、すべての生物種の90%以上が死滅しました。
科学者たちはこれまで、この大量絶滅の原因が、「現在のシベリアで何百万年も続いた巨大な火山噴火による地球温暖化」にあると考えてきました。
ところが最近、イギリスのブリストル大学(University of Bristol)に所属するアレクサンダー・ファーンズワース氏ら研究チームは、最新データを用いた気候モデルから、大量絶滅の原因に関して新たな視点を見出しました。
彼らによると、2億5200万年前の大量絶滅は、単に火山噴火で生じたのではなく、その火山噴火をきっかけとして生じた大規模なエルニーニョ現象「メガエルニーニョ」が原因だというのです。
このメガエルニーニョは、長い時には10年間も続き、世界各地で壊滅的な干ばつと洪水を生じさせたと考えられています。
研究の詳細は、2024年9月12日付の学術誌『Science』に掲載されました。
目次
- 2億5200万年前の大量絶滅の原因はエルニーニョだった!?
- 世界最悪の大量絶滅を引き起こした「メガエルニーニョ」とは
2億5200万年前の大量絶滅の原因はエルニーニョだった!?
古生代後期のペルム紀末(2億5200万年前)に、地球史上最大の大量絶滅が起こり、生物種の90%以上が死滅しました。
この大量絶滅自体は、化石生物の変化から実証されていますが、その原因にはいくつかの仮説があります。
例えば、世界的な海岸線の後退による食物連鎖の崩壊、隕石の衝突などが挙げられます。
そして科学者たちが最も有力だと考えているのは、「シベリアの火山活動」です。
当時、現在のシベリア高原(ロシア)にあたる場所で、大規模な火山活動が200万年以上続き、この活動で放出された二酸化炭素が地球の急激な温暖化を引き起こしたというのです。