そして第二に「脳は新しい情報を記憶するスペースを確保するため、重要でない短期記憶はすぐに消してしまう」ことが要因としてあります。
つまり先ほど話したように、脳がいくつかの短期記憶に対して、ジャグリングするかのように意識を向け変えていると、その過程で重要でないものはすぐに消去されてしまう可能性があるのです。
ミラー氏は「もし脳の注意力が短期記憶のうちの一つに集中したり、どこか別の物事に逸れたりすると、脳は先ほどまで考えていたことを見失ってしまう」と説明。
「まさに(短期記憶という)ボールの一つを落としてしまうから、今さっきまで取り組もうとしていた物事を突如として忘れてしまうのです」と話します。
そしてこうした瞬間的なド忘れが起きるのは大抵、マルチタスクをしようとしたときや別の出来事が急に意識に横入りしてきたときです。
例えば、iPodで音楽を聴きながら料理をしているときなど。
別のアーティストのアルバムに変えようと思ってiPodをいじり始めると、「あれ、塩入れたっけ?」と料理をどこまで進めていたか失念してしまうのです。
また自分からはマルチタスクをしようとしない場合でも、外部から意識に横やりが入ることがあります。
例えば、洗濯物を取りに行こうとしてソファから立ち上がったときに、友人からメールが来て、そちらに意識が向いてしまうと、「洗濯物を取りにいく」という短期記憶が意識からスリ落ちてしまうことがあるのです。
では「瞬間的なド忘れ」に対処するにはどうすればいいのでしょうか?
「瞬間的なド忘れ」を克服するためのヒント
こうした「瞬間的なド忘れ」は誰にでも日常的に起こり得ることなので、一生涯にわたって上手く付き合っていかなければなりません。
そこでミラー氏は先行研究のエビデンスに基づいたヒントを提示しています。