昨日あった面白い出来事を友だちに話そうとした矢先、ふと手元のスマホが鳴って、知人からメールが来たのに気づく。
チラッと目をやり、急用ではなさそうなので「あとで返信しよう」と目を離して、話に戻ろうとする。
すると「あれ?何話そうとしてたっけ」と自分が話そうとしていた内容をド忘れしてしまう。
これは誰もが日常的に経験している出来事です。
なぜ私たちはついさっきまでやろうとしていたことをほんのちょっとの隙に忘れてしまうことがあるのでしょうか?
ここではこの「瞬間的なド忘れ」にまつわる脳の仕組みについて話していきます。
目次
- 「瞬間的なド忘れ」に関わる記憶のタイプとは?
- 今やろうとしたことをド忘れする仕組みとは?
- 「瞬間的なド忘れ」を克服するためのヒント
「瞬間的なド忘れ」に関わる記憶のタイプとは?
部屋に入ったものの何しに来たのか忘れてしまったり、ソファから重い腰を上げたのはいいが何のために立ったのかわからなくなる、などなど。
こうした「瞬間的なド忘れ」は脳の病気ではなく、誰にでも起こり得る現象です。
なぜ先ほどまで頭にあったことを忘れてしまうのでしょうか?
それを知るにはまず「記憶の仕組み」を理解する必要があります。
私たちが過去に経験した思い出や出来事はすべて「記憶(Memory)」の一語でまとめることができますが、その種類は一つではありません。
記憶には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つ目は「長期記憶」です。
長期記憶とはその名の通り、ある程度の長いスパンから一生涯にわたって保持される記憶のことで、さらに以下の3つのカテゴリーに分けられます。
・意味記憶:言葉の意味や知識についての記憶。
家族やモノの名前であったり、「勇気」という言葉の意味であったり、「1日は24時間である」という知識についての記憶です。
・エピソード記憶:個人が経験した過去の出来事についての記憶。