「昨日はどこで誰と何を食べたか」とか「学生時代はどんな勉強をしていたか」といったエピソードについての記憶です。

また自然災害がいつ起きたかという社会的な出来事の記憶もこれに含まれます。

手続き記憶:物事のやり方や手順についての記憶。

自動車の運転の仕方であったり、水中での泳ぎ方であったり、パソコンの使い方であったりと、身についた技術についての記憶です。

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運転の技術も「長期記憶」の一つ / Credit: canva

そして2つ目は「短期記憶」です。

短期記憶とは、数秒〜数時間という短い時間だけ続く記憶のことを指します。

これは今まさに取り組んでいるタスクを正常に遂行するのに必須です。

例えば、小説を読んでいるときに、前のページの文章内容を覚えていることで、物語の内容を自然と理解することができます。

また友だちに電話番号を聞き、登録するまでの数十秒間だけ覚えておくのにも短期記憶が使われます。

他にも暗算をするときなど、頭の中で一時的に数字を覚えておけるのも短期記憶のおかげです。

このように短期記憶は今取り組んでいる作業のために一時的に保持される記憶でありますが、まさにこの短期記憶こそが「瞬間的なド忘れ」に関わっているのです。

今やろうとしたことをド忘れする仕組みとは?

その理由について米マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者であるアール・ミラー(Earl Miller)氏は、短期記憶にまつわる2つの特徴をもとに説明しています。

まず第一に「短期記憶は保持できる容量が限られている」ことです。

ミラー氏によると、これまでの研究で人が一度に保持できる短期記憶は4〜7個だけであることが示されています。

さらに私たちの脳は4〜7個の短期記憶をすべて同時に意識できるわけではなく、一つの記憶からもう一つ別の記憶へと飛び回るように意識しているといいます。

その中で何とか保持していた短期記憶の一つが意識から抜け落ち、忘れてしまうことがあるのです。

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Credit: canva