こうして測量した田畑は、土壌の質や地形、灌漑設備の有無などを基準に、上・中・下・下々の等級に分類されました。正確な収穫高が分かるようになってからは、実際の収穫量で土地の価値を示す「石高制」に移行します。

「石」は容積を表す単位で、米1石は現在の約180リットルに相当します。水田以外の畑については、米に換算した生産高で表しました。

石高制は江戸時代にも引き継がれ、明治時代に「地租改正」が行われるまで続きます。農民は石高によって年貢が決まり、藩の財力や武士の給与も石高で示されたのです。

農民が自分の土地を持ち、耕作量に応じて年貢を納める太閤検地のシステムは、当時は大変画期的でした。秀吉の政敵であった徳川家康がそのまま引き継いだことからも、完成度の高い政策だったことがうかがえます。

ルールの統一でメンバーの迷いを取り除く

太閤検地から学ぶことができるマネジメントのポイントは、基準及びルールの統一化、明確化が大事であるということです。太閤検地以前がそうであったように、曖昧な基準やルールは、非効率すなわちロスタイムを生んでしまいます。

あなたの組織でもこんなことはありませんか?

使っているアプリが異なっていたり、同じでもバージョンがバラバラだったりして互換に手間取っている 社内でのコミュニケーションの仕方がメモやSNS、社内掲示板、メールなど統一されていないため、確認に手間取ったり、見落としが発生したりする 責任の所在が不明な業務があり、エラーが起きた時に責任の擦り付け合いが起きる

こうした曖昧な基準やルールを統一し、明確にすることで組織内のメンバーの迷いを取り除き、効率的な業務遂行を促すことができます。

「刀狩り」と「身分統制令」で平和を目指した

秀吉は、太閤検地の導入と同じ頃、「刀狩令」を出して農民から武器を取り上げます。さらに「身分統制令」によって武士、商人、農民のそれぞれの身分を固定し、他の職業になることを禁止しました。