CTO就任後、初めて手掛けたのは、グループのサーバー費用の削減!?
――野呂さんはベクトルグループのCTOとしても、グループ全体のTech領域を統括されているとお伺いしました。CTOとして最初に取り組んだ仕事はどういうものだったんでしょうか。
野呂:ベクトルグループのCTOとして私が最初に取り組んだのは、サーバー費用の削減でした。着任後、最初の約1ヶ月をかけて集中的に取り組み、年間4,000万円から5,000万円程度の削減に成功しました。
この削減を営業利益貢献とみなした場合の売上に換算すると、5億円売り上げるのと同じくらいのインパクトがありました。つまり、コスト削減によって、新たに5億円の売上を立てるのと同等の効果を生み出せたわけです。
――それはすごい成果ですね。
野呂:私はこれまでも、スピーディーに成果を出すことに重きをおいています。CTOというのは技術的な知識を活かすことはもちろんですが、経営的な視点を持ち合わせていることが、極めて重要です。
――一方で、CTOという役割は、まだあまり日本企業では定着していないようにも見受けます。それはどのように捉えていますか。
野呂:おっしゃるとおり、日本企業においては、CTOはあまり浸透している状況にはないかもしれません。ある調査では、CTOを設置している企業の割合が20%を下回っているといった結果も出ていました。売上高1兆円規模の企業でも、35%程度のようです。その背景には、いわゆるIT人材の不足といった側面もあると思います。
――なるほど。そのなかで、さらに経営的な視点をもったCTOが重要というのはどういうことですか?
野呂:CTOはその特性上、技術的観点に重きをおきやすくなる側面があると感じています。また、経営層や事業サイドとのコミュニケーションがうまく取れないといった話を耳にすることも多いです。そのような状況において、本質的にTech領域から事業をドライブするためには、ビジネス思考を持ち合わせたCTOという役割が、極めて重要だと考えています。
――では、野呂さんはまさにその観点で、ベクトルグループにジョインされたのですね。
野呂:はい。ベクトルグループはこれまで、PR企業としてさまざまなソリューションを通して、世の中に広く情報を届けることを生業としてきました。そのようななか、近年では広告会社ともビジネスモデルの重なりも増えてきています。ベクトルグループでは「ローコスト」「ミドルクオリティー」そして、「スピーディー」といった方針を掲げています。ここに、私自身がビジネス思考のCTOとして、社内外の垣根を越えて、Tech領域において自ら手を動かし、クイックにプロダクトを作り出し、クライアント企業のビジネス機会の創出につなげていきたいと考えています。