まず、エンジニアは元になるクルーズ客船の設計図を確認したり、実物に乗って何百もの測定を繰り返し行います。
これらが終わると、延長部分として追加される「新しい胴体」を設計します。
既存のクルーズ客船が半分に切断されるということは、それらを繋いでいた何千ものパイプやワイヤー、ケーブルも切断されることになります。
当然、新しい胴体が挿入された時には、それら切断されたパイプやワイヤーを繋がなければいけません。
新しい胴体の設計図は、すべての切断面がズレないよう正確に設計されていなければいけないのです。
また、新しい胴体(客室)のシステムが既存のシステムに負荷をかける場合には、既存の設備をアップグレードする準備もしていなければいけません。
そして実際に新しい胴体が建造されると、まるでアパートをスライドさせるかのように、半分に切断されたクルーズ客船の間に挿入されます。
ちなみにクルーズ船の切断には数百人にも及ぶ作業員が動員され、ミリ単位の精度を保つためにレーザーガイド(レーザー光を使用して切断ラインを明示する補助器具)を用います。
しかも、切断の順番によっては特定の部位に膨大な力が加わってしまうため、どの部分をどの順番で切断するかが慎重に計画されています。
新たな胴体が挿入され後は、すべての面を溶接していきます。
まずは船体やデッキなどの外側を結合し、その後、何千ものケーブルやダクト、ワイヤーを再接続していきます。