既存のクルーズ客船を半分に切断し、その間にぴったりと合うような追加の船体を差し込むという大胆な手法です。

そしてこの船体延長工事を採用するなら、あるケースでは、平均8000万ドル(約116億円)の費用と2カ月の休止期間だけで、クルーズ客船を巨大化させられます。

もちろん、費用はクルーズ客船の規模によって様々ですが、新しく巨大クルーズ客船を造るよりもはるかに安くなります。

しかも、運航をすぐに再開できるため、数年以内にすべての運営費を回収できます。

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切断したクルーズ客船の間に、新たに建造した船体を追加。延長する / Credit:Windstar Cruises(Youtube)_How to Stretch a Ship(2019)

またこの工事を行う際に既存部分の整備も行うことで、全体としてクルーズ客船の寿命を20年延ばすことができるという。

しかも既存の乗組員に、僅かなスタッフを加えてトレーニングするだけで、すぐに運航を開始できます。

まさにクルーズ客船業界にとって、現在の需要を満たすピッタリの方法だと言えます。

では、この船体延長工事はどのように行われるのでしょうか。

実際の映像から確認してみましょう。

たったの9週間で工事完了!?船体延長工事の映像

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船体延長工事は昔から存在する / Credit:Windstar Cruises(Youtube)_Windstar Cruises Cut The Ship In Half(2019)

既存のクルーズ客船を半分に切断するという「船体延長工事」は、新しいアイデアではなく、クルーズ客船特有の工事でもありません。

第二次世界大戦直後には既に船体延長工事は行われており、造船業者たちは軍艦を巨大化していたようです。

現在ではよく知られた手法になっており、クルーズ客船を数十メートル延長させることを専門とする造船所も存在します。

では、実際の様子を見てみましょう。