当方がアルバニアの首都ティラナでプルミー神父と会見した時、同神父は、「わが国の民主化は宗教の自由を求めることから始まった。シュコダルで初めて正式に礼拝が行われた時、警察当局はもはや武力で礼拝を中止できなくなっていた。ティラナで学生たちの民主化運動が本格的に開始する前に、神について自由に語る権利を要求する運動が始まっていた。当時の共産政権指導者は恐れを感じていた」と話してくれた。

ルーマニアではマジャール系(ハンガリー人)の牧師が主導する少数民族への弾圧政策に抗議する運動が改革の起爆剤となったが、その中心的人物はテケシュ牧師だった。国民から「12月革命の英雄」と称えられた。秘密警察が全土を支配する中、命の危険を顧みずに立ち上がり、民主化の起爆剤となった。ハンガリーのブタペストで会見した時、同牧師に「あなたの原動力は何か」と質問すると、「キリスト者としての信仰と、不義な者から逃避してはならないという確信があった。多くの国民も、人間として自由でありたいという願いは、生命を失うかもしれないという恐れより強かった」と語ってくれた。

冷戦時代を生き、使命を担い、走りきった3人の聖職者は神の証人だ。彼らのことを想起する時、「(彼らの)苦難から生まれた『善』のために祈ろう」と述べたヨハネ・パウロ2世の言葉が生き生きと蘇ってくる。苦難、試練から生まれてきた「善」は私たちの本心に語り掛ける力を持っている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。