「わからない」と答えた人に重ねて「どちらかと言えば支持ですか、不支持ですか」と質問すれば自ずと「わからない」の割合が減る。

世論調査を行なう報道機関の公式見解をまとめると以上になる。

しかし実際には、突然の電話調査に時間を割いて回答するのは態度表明に積極的な人々であるし、しかも新聞社や放送局に対しての好悪が回答の有無に関係しないというのは実情からかけ離れている。報道機関への不信感が強くなって世論調査に影響していると専門家は見ていて、一般の人々の実感もこの通りだろう。

国民の考えを反映する、適切なサンプリングが行われていない可能性があるのだ。しかも重ね聞きをすれば、ますます実態とずれて誇張された結果になりかねない。

さらに固定電話の加入率低下と、携帯電話併用法を含め未登録電話番号に出ない人の増加によって回答層に偏りが出ている。併用法によって以前より若年層の回答が増えていると言われるが、見知らぬ電話番号への警戒心が強い女性層を中心に回答率が減っている。

最近、携帯電話番号へのショートメッセージ送信機能を使って回答用ページへ誘導する手法も使われ始めたが、詐欺サイトに誘導されるのではないかと懸念して回答しない人が多い。マスコミ不信のない答えたがりの人が多く参加する調査で、「首相にふさわしい人物」に序列をつけているのだ。

この人たちの横顔を考える上で参考になる調査がある。

NHKが2022年に全国の10代から70代までの3000人に対して行った政治意識調査では、「政治にあまり満足していない」「まったく満足していない」の合計が74.4%を占め、このように思う理由としてあてはまるもの3つを選択させると「政党や政治家が信頼できない」42%、「政治家の質が低い」40.8%、「政治家によいイメージがない」39.8%が上位3位だった。

石破氏への奇妙な反応が生じた経緯

なぜ石破首相待望論だったのか。それなのに、なぜ石破氏が首相になると内閣支持率が低迷したのか。発足時を比較すると、時事通信の調査で石破内閣は28.0%、岸田内閣は40.3%、菅内閣は51.2%、第2次安倍内閣は54.0%で、2000年以降の最低はこれまで森内閣の33.3%だった。